バイクのチェーン調整ってやったことはありますか?
自分でバイクメンテをする人だったら、まずやったことはありますよね。それだけ入門編的なものなのかもしれないです。
が、バイク初心者な自分は、ちょっと前までやったことがなかったです。点検とか、タイヤ交換などの作業の際にプロにやってもらっていました。
自分で初めての時は、知り合いになんとなく教わってやりました。でも、失敗だらけ。
張り具合の調整をちゃんとやったつもりだったのですが、帰宅後に復習がてらチェックしたら張り過ぎになっていました。さらにリアタイヤの向きがまっすぐでなく、多少ずれていました。
「張り具合(遊び)」にしても「向き」にしても、その場ではちゃんとやったつもりでした。でもうまくいかなかったので、その原因の究明とどうやったらいいのかをもう一度 YouTube で情報収集し、再チャレンジとなります。
今は良い時代で YouTube には多くの先輩たちの手法があふれています。ただそれぞれの手法は微妙に違ったので、自分なりに理屈を考えながら、いいとこ採りだと自分で思えるやり方でやってみました。
この記事では、いろんな方の手法を盛り込んでやってみたチェーン調整記をお届けします。
バイクメンテ初心者がYouTubeで学んでチェーン調整をした
まず最初に、過去の失敗例。
- ちゃんと張り具合を調整したつもりなのに、あとで再確認をしたら張り過ぎになっていた
- ちゃんとアジャスタープレートを合わせて調整したつもりなのに、タイヤの向きが少しずれていた
これらは、一々ちゃんとやったつもりでした。が、最終的にはうまくいかなかったです。
ということで、この問題が再発しないように作業をしました。それぞれ、各作業のところで解説します。
作業
それでは、チェーン調整の作業を進めていきます。参考までにですが、この記事の一番最後に僕自身の備忘録的作業手順書を載せておきます。
調整する場所
ちょっとタイトルがわかりにくいのですが、チェーンの張りを調整する時に気を付けないといけないのがチェーンの片伸びです。
チェーンは、全体が均等に伸びるわけではなくて、部分的に伸びてしまうところがあるそうです。基本的には、片伸びが出てきたらチェーン交換をした方がいいです。が、とりあえずでも調整するなら、一番張りが強くなるところで調整をすべきだそうです。
リアを上げて、チェーンの遊びを見ながらタイヤを回していく(チェーンを動かしていく)と、場所によって遊び具合に違いがあるこ
とがあります。これが片伸びです。僕のNCには片伸びはなかったです。まだまだ使えるってことだな。
チェーンの遊びの計測
チェーンの遊びを計測します。NC750Sは、サービスマニュアルを見るとサイドスタンドで立てた状態で 25mm ~ 35mm が適正範囲です。
僕のバイクは41mmありました。伸びてますね。一応注意書きもあって、NC750Sの場合には、50mmを超えるとフレームを損傷させる恐れがあると記述があります。(Xはまた違う数字)
で、この計測は、フロントスプロケットとリアスプロケットのだいたい中間点でやります。で、遊びの計測はチェーンを上下してその間隔を測ります。上げたときと下げたときの和を採るということですね。
ご参考 リアタイヤを上げるときの注意点
チェーン調整をするときには、リアタイヤを上げた状態でやります。リアタイヤを持ち上げることで、さらには持ち上げ方で、チェーンの遊び量は変わってしまいます。これは、スイングアームの角度が変わるからです。
遊び量の基準が設定されているサイドスタンドで立っている状態に比べ、センタースタンドを使うとスイングアームは下方に落ちる感じになるし、リアスタンドを使うと上方に上がる感じになります。
NCの場合、リアスタンドを使うとチェーンの遊び量はサイトスタンド時に比べ約10mm減ります(実測値)。なので、リアスタンドで上げているときのチェーン遊び量適正値は 15mm~25mm ということになります。まぁ、最終的にはサイドスタンドで立てた状態での確認は念のためには必要ですけどね。
自分のバイクにセンタースタンドはないのでどのぐらい上がるかはわかりません。もしセンタースタンドでリアタイヤを上げて調整する方は計っておくといいと思います。
上げ方によって遊び量が変化するので、ご自身のやり方によって変化する遊び量を測って知っておくといいと思います。
アライメントの調整
チェーンの遊び量調整を含め、リアタイヤをいじるとリアタイヤのアライメントは狂います。
アライメントっていうのはリアタイヤの向きで、正面を向いていないとバイクがまっすぐ走らないことになります。
なので、チェーンの遊びの調整をしたら必ずアライメントの調整が必要。
サービスマニュアル的にも一般的にも、アクスルシャフトのところにあるアジャスタープレートの目盛りを左右同じに調整するのが一般的です。ただあまり精度が良くないからか他のやり方をやっている方もいます。
今回調べていて三つのやり方がありました。
- チェーンアジャスターでの調整
- チェーンアライメントツールでの調整
- リアタイヤに糸を張っての調整
1番目の方法はもっとも一般的で、バイク屋さんでもほとんどがこの方法でやっていると思います。時間も手間もほとんどかかりません。個人的には精度があまり良くないような気がしますが、そこはプロの経験や技と多少の誤差でも問題ないという判断で行われていると思います。
2番目の方法は、スプロケットとチェーンの向きを計るツールを使います。これで向きを見ながらスプロケットとチェーンの向きが一致するようにします。一番目のやり方よりも精度が出るように思います。
今回自分は、三番目のリアタイヤに糸を張る方法で調整をしました。手間も時間もかかります。たぶん精度も出ますが、そこまでの精度が必要かどうかはわかりません。
ただ素人DIYメンテナンスは、時間とか効率とか考えなくていいので興味本位でやってみました。結果としてバイクが非常に素直に走るようになった気はします。
リアタイヤに糸を張るアライメント調整
最終的には、リアタイヤとフロントタイヤの向きを一緒でまっすぐ一列にしたいわけです。とすると、リアタイヤがどこを向いているのかを知る必要があります。
一般的に行われているチェーンアジャスターによる調整だと、理屈としてまっすぐになっているはずというだけで、実際にまっすぐかどうかはわかりません。仮に、作業誤差があっても気づきようがないです。アジャスタープレートってガタがあるんですよね。ガタの範囲でも結構な誤差になるように思います。
タイヤに糸を張る方法だとタイヤの向きを直接見ていくので、確実に真っ直ぐになると思います。
まず測定用の糸を用意します。長さ的にはリアタイヤからフロントタイヤまで届けばよく、左右あるので4mぐらいあれば充分です。僕はゴム素材のものを使っているのでもっと短い(2.5m)です。
最初に準備するのは糸をリアタイヤの真ん中あたりに貼り付けることです。
またフロントタイヤの下にはメジャーを置いておきます。フロントタイヤとリアタイヤを結んだ線に直角になるように置きます。
計測はタイヤの前後に糸が触れるようにしてフロントまで持って行きます。リアタイヤの右側、左側の面の延長線がフロントタイヤのセンターからどのくらい離れているのかを確認します。最終的には、この離れ具合が左右一緒になれば、フロントタイヤとリアタイヤは同じ方向を向いていることになります。
4輪のアライメントテスターに載せるのと感じが似ていますね。
アクスルシャフトを締める
最後にアクスルシャフトを締めて作業は終了です。
が、ここもただ単に締めるだけではいけなかったです。最初にチェーン調整をしたときの失敗の一つが、「ちゃんと調整をしたのに最終的には詰まってしまっていた」ですが、ここに原因があったようです。張り過ぎもトラブルの原因らしいので、指定された辺りにしたいものです。
アクスルシャフトを締めるトルクは98Nmとかなり大きいです。力一杯に近い感じです。
このトルクで締めると、アクスルシャフトも多少の影響を受けて、微妙に後方に移動しちゃうみたいなんですよね。すると、遊びは減る方向になります。
で、プロは締めこむ前にチェーンとスプロケットの間に何かしら挟んで動かないようにしてからやっていました。工具を突っ込む人もいれば、タオルを突っ込む人もいました。
これをやってみたら、アクスルシャフトを締める前後での変化はなくなりました。こういうのはサービスマニュアルにはないけど、プロはだいたいやっている大切な技ですね。
まとめ
バイクのチェーンは、プロが乗ろうが僕のような初心者が乗ろうが、伸びます。誰が乗ろうと伸びます。だから、定期的なチェックとメンテは必要です。
バイクをちゃんと半年ごとにプロに点検に出していればそこで調整はされます。が、最近自分でやるようになって思うのは、「たぶん誰でもできる」です。こういう調整があるものは、比較的難易度が高いです。というのも、本当にあっているかどうかの答え合わせがやりにくいから。
あと、リアタイヤを持ち上げることができない人もいるか。これは道具を買うことで解決はできますね。
こういうのもあるといえばあります。なんとなく微妙に怖いけど。でも、あればチェーンの清掃とか注油とかにも使えるし、携帯用にはいいかも。
これは、できたら自分でやった方がいい整備だなと思います。頻度も高くできるようになるし。
僕自身いろいろと勉強にもなりました。スタンドとか、27mmのソケットとか、普段自分で整備をしない方だと持っていないだろう物から用意しないといけないですけど、できたら価値はあると思います。
その気になりだしたら、ぜひチャレンジしてみてください。
最後に、参考までに僕の備忘録的手順書を載せておきます。
- サイドスタンド状態で遊び量のチェックをする 25-35mm
- リアタイヤを上げる
- フロントタイヤを上げる
- 片伸びのチェックをする
- 片伸びがあれば、張り具合の大きいところで調整する
- 遊び量を確認する(上下に振って測定)
- アクスルシャフトを止めているナットを緩める(27mm)
- 調整ナットをスパナで押さえておき(14mm)、調整ロックナットを左右とも緩める(12mm)
- 調整ナットを左右とも緩める
- 一旦タイヤを目一杯前に押す
- 調整は、タイヤを前方に押しながらやる
- 左側の調整ナットを締めて、遊び量を調整する
- 左側の調整ナットのロックナットを手で仮締めしておく
- リアタイヤに糸を貼る
- フロントタイヤ下にセンターを合わせたメジャー設置する
- 右側の調整ナットをアライメントを見ながら調整する。行き過ぎないように注意
- 右側の調整ロックナットを手で仮締めしておく
- 調整ナット(14mm)をスパナで抑えておいて、ロックナット(12mm)を締める(21N.m)
- スプロケとチェーンに何かしら挟み、タイヤを回してテンションを掛けておく
- アクスルシャフトのナット(27mm)を締める(98N.m)
- フロントタイヤを下す
- リアタイヤを下す
- チェーン遊び最終チェックをする
- 規定値の25mm-35mmに入っていれば終了
コメント