フロントフォークオイル交換とスラストベアリング挿入 -準備編-

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バイクを GSR250 から NC750S に乗り換えたらセルフステアがやけに強かったのです。それがバイクの特性かとしばらくは思っていたのですが、ある時それが前のオーナーに調整されていたフロントフォークの突出し量のせいだと知りました。この突出し調整で大幅に動きが変わることを知った時に、フロントフォークのメンテナンスを自分でやってみたいと思いました。

幸か不幸か NC は廉価版なバイクなので、フロントフォークは正立式でかつ非常にシンプルな構造。いろいろと調べてみたところ、これなら初心者の自分にもオイルの交換ならできそうな感じだったので少しずつ準備を始めました。

フロントフォーク交換準備

フロントフォークオイル交換とスラストベアリング挿入 -準備編-

まずはリアスタンド、次にフロントスタンドを買いました。ここで、フロントフォークメンテの練習という感じで、フロントフォークの突出し調整をしました。これでバイクの感じが変わったので、やってよかったです。突出し調整は分解系の作業が全然ないので、スタンドさえあれば、ほぼ誰でもできる気がします。

突出し調整ができれば、次はフロントフォークのオイル交換です。

オイル交換をするには、まずフロントフォークをバイクから外します。

フロントフォーク単体になったところでトップキャップを外して、フロントフォークの中身を出します。ここでインナーチューブから出てくるものは、スプリングとカラーとワッシャ2個。たったこれだけ。さすがにシンプル過ぎるほどシンプルです。

この辺の作業を調べていくと、スプリングのプリロードを調整するイニシャルアジャスターをトップキャップとの交換だけでつけられることがわかりました。

さらに、スプリングが動く時の抵抗を少なくするためにスラストベアリングを入れる人がいることもわかり、これも中に入っているワッシャと入れ替えるだけな感じで装着できることがわかりました。

なので、フロントフォークのオイル交換に合わせて、イニシャルアジャスターとスラストベアリングの装着も一緒にやってしまいます。

フロント/リアスタンドを用意する

ゼロからフロントフォークのオイル交換を始めようと思ったとき、このスタンドの用意に一番費用が掛かります。Amazonを調べると、中華製の激安商品もあります。ただ、自分は重量物のバイクを持ち上げるのに、中華製激安商品を使う勇気はありませんでした。

まぁ、スタンドの用意は、費用は掛かりますけど作業的には買うだけです。

フロントフォークオイル

NC のフロントフォークには調整機能が何もありません。プリロードも減衰力も調整用のネジのようなものがついていません。

ただ、減衰力はフォークオイルの硬さ(粘度)を変えることで調整ができます。走り方によって、その場その場で減衰力を調整することはできませんが、ツーリングバイクのようなバイクにはこれで充分な気もします。個人的には、ネジで調整できるようになっていても、最初に少し触るくらいできっと何もしないで放置状態になってしまうんじゃないかなと思います。

で、スズキ純正のフォークオイルを用意しました。硬さ(粘度)は10番です。

フォークオイルは各バイクメーカーが売っています。当然 NC のホンダも売っています。が、なぜか価格が高いので一番安いスズキのフォークオイルにしました。

また、同じ10番でも微妙に粘度は違うようで、スズキのが一番柔らかいようです。硬い柔らかいで良い悪いはありません。

のんびりトコトコツーリングをするのが僕のバイクの使い方なので、柔らかい方が乗り心地が良さそうだし、荒れた路面でもそこそこ食いついてくれるんじゃないかなと思い、値段と柔らかさでスズキがちょうど良かったです。

油面ゲージ

フロントフォークのオイル交換をするためにいろいろ調べてみてわかったのですが、フロントフォークの中にある空気もサスペンションの一つの要素として働いているんですね。なので、フロントフォーク内の空気の量も乗り味を変える要素の一つになります。

空気の量がセッティング要素の一つなのですが、実際に空気の量を測るのは難しいです。そこでフロントフォークにオイルを入れた時に、その油面の高さを調整することで結果的に空気の量を調整します。

色々な情報を調べると、油面の高さがかなりシビアに解説されています。なので、空気の量というよりもオイルの量が大切だと思っている方も少なからずいらっしゃると思います。まっ、実際にそんなことはどうでもよくて、 規定通りにやればちゃんと機能します。

その規定通りに動いてもらうために、正確に油面を測る道具を用意しました。頻繁に使うものではないと思いますが、2,000円くらいのものだったので買いました。 この手のものはけっこうシビアに調整する人もいるので、やりやすい道具を用意しておく方がいいと思います。(といいつつ、油面調整は間違えましたけど…)

※まぁ、多少の誤差だったら実際に乗ってもわからないんじゃないかと思っている今日この頃…。

スラストベアリングを入れる

フロントフォーク内でスプリングが伸び縮みするとき、スプリングって捻れるというか回転するそうです。そのため、スプリングの上端や下端と接しているワッシャなどとの間に、微妙ながらも抵抗が生じ、この抵抗がスプリングの伸び縮みを阻害するのだそうです。

すごくざっくりいうと、スプリングの伸び縮みの時に生じる回転がサスペンションの動きを微妙に悪くするということ。

この微妙に悪くなっている動きを改善するために、スプリングと他のパーツの間にスラストベアリングを入れます。スラストベアリングはこんな感じのもので運動するものとワッシャーなどの間に入れて抵抗を減らします。

理屈的にはこれでサスペンションの動きが良くなるはず。実際にスラストベアリングを入れるとサスペンションの動きがとても良くなるバイクはあるようです。

スラストベアリングは、色々なメーカーから販売されています。ものすごい消耗品ということでもないし、フロントフォークを開けることはそんなに頻繁にあることだとは思えないので、激安中華を探さずに日本のメーカーのものを使うことにしました。

で、買ったのは、 NTNというメーカーのもの。他にもいくつかの候補が挙がりましたが、コストや雰囲気でこれにしました。基本的に、僕自身は超初心者なのでこれがベストチョイスかどうかはわかりません。

これをフロントフォークに入れる場合に両端をワッシャで挟み込んで使います。

スラストベアリングにしてもワッシャにしても、どのメーカーでも良いのです。ただサイズとしては

  • 外径 35mm
  • 内径 20mm
  • スラストベアリング厚み 2mm
  • ワッシャ厚み 1mm

を使います。

ベアリングとワッシャの厚みは強度云々ではなく、スプリングのプリロードに影響するため気にしないといけないです。あとのカラーのところでまた少し説明が出てきます。

イニシャルアジャスターを用意する

バイクのスプリングには、最初から少しスプリングが縮んだ状態になるように力が掛けてあります。これをプリロードとかイニシャルとかいいます。

このプリロードは、ライダーの体重や走るスピード域によって最適値が変わってきます。なので、本来は調整できるといいのですが、調整機能がすべてのバイクについているわけではありません。

プリロードの詳細な理屈や設定方法は他に非常に細かく説明してくださっている Web サイトがあるのでそちらを探していただくとして、 NC では純正状態ではプリロードの調整機能はついていません。

そのため、乗り手の体重や走り方に合わせたサスペンションセッティングをすることはできないわけです。そこで社外品のプリロード調整パーツであるイニシャルアダプターをつけて、調整できるようにします。

現実的なことをいえば、 NC はトコトコゆっくりのんびり走るタイプのバイクなので、そんなにシビアに調整する必要はないとは思います。ただ、イニシャルアダプター装着はトップキャップと交換するだけの簡単作業なのと、せっかくなので調整してみたい気持ちも出てきたので交換することにしました。

モノ的には、ホンダの他のバイクの純正品をちょっとした加工で流用することができるようです。ただ個人的に加工するのが嫌だったのと、 Amazon で中華を買うと数分の1のコストで買えることがわかったので、中華製を使うことにしました。

オリジナルカラー(180mm)を用意する

NC のフロントフォークの中には、カラーいう部品というかパイプ状のものが入っています。このカラーの長さがスプリングのプリロードを決めています。

今回のフォークオイル交換では、イニシャルアジャスターとスラストベアリングを追加装備します。この二つの部品追加が、スプリングを純正よりも20mmほど余計に縮めてしまいます。

これはスプリングのプリロードを20mm余計に掛けることになります。

なので、パーツ追加で生じた20mmを補正するために純正より20mm短いカラーを用意します。この20mmはあまり厳密に気にしなくてもいいです。追加装備するイニシャルアダプターで外から調整できるので。

参考までに、純正のカラーは34mm径で長さ200mmのパイプです。多分鉄製。

で、純正より20mm短いカラーの用意の方法としては、

  1. 純正品を取り出したところで20mm自分でカットする
  2. 先に純正カラーを用意しておいて20mm自分でカットしておく
  3. ホームセンターとかで代替可能なパイプを用意しておく

辺りが考えられます。で、僕が選択したのは 3. の「代替パイプを用意しておく」です。

実際に自分でやってみて思うのは、2.の「先に純正カラーを用意しておいて20mm自分でカットしておく」がいいです。

僕的には、オイル交換作業中にフロントフォークから取り出したパイプをその場で自分で20mmカットするのは、作業前には考えられませんでした。また、純正カラーを事前に用意するよりも、ホームセンターでパイプを買ってきた方がコストが掛からないとも思いました。

それで、3. の代替パイプを用意しておく方法をとりました。作業前に近所のドイトで32mm径のステンレスパイプを180mmにカットしてもらって買ってきました。(左右各1本ずつでで計2本)

結果として

  • カラー径が微妙に変わった
  • 材質がステンレスに変わった
  • カットしてもらったところのバリが激しく、バリ取りが大変だった

な感じです。これ、純正をパイプカッターで短くすれば全部解決なのです。あとで、純正状態に戻したくなったら元々フロントフォークに入っていた物に戻せばいいです。

僕的には、今手元には元々入っていた純正カラーがあるので、次にオイル交換をするときにはこれを20mmカットして入れようと思います。

まとめ

初めてのフロントフォークのオイル交換のために買ったものは、

  1. リアスタンド
  2. フロントスタンド
  3. フォークオイル
  4. 油面ゲージ
  5. ダストシール
  6. イニシャルアジャスター
  7. スラストベアリングとワッシャ
  8. カラー

です。純粋にオイル交換だけなら4番目まででいいです。

次の記事では、実際にオイル交換をしていきます。

多少のトラブルっぽいことも体験しながら、最終的には数時間で交換を終えることができました。そのあとちゃんとバイクは走っています。更には多少乗りやすい感じになりました。

個人的には、ここまではできたら絶対にいいと思います。次の記事をご期待ください。

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buga

昔サラリーマンな工業系エンジニア。
今は、人に使われるのがだめで自営業で人間系エンジニア。
20代でバイクの中型免許を取り、50代半ばの今になって初めてバイクに乗り、なのでバイクの話題が多い今日この頃。

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