フロントフォークのオイル交換実践編の後半です。
前半ではフロントフォークからオイルを抜くところまでやりました。ここではその次のオイルを入れるところから最後の確認まで紹介します。
作業手順(後半)
オイルを入れる(油面調整)
ここまでで色々な物を外したり抜いたり、ばらしていく方向でした。 ここから先は後半戦で、どんどん組み上げていきます。
さて、フロントフォークから古いオイルが抜けきったところで、今度は新しいオイルを入れます。
作業手順的には、
- オイルを入れる
- よくしごき、エア抜きを行う
- 油面調整を行う
- スプリング、カラー、スラストベアリングなどを入れる
- トップキャップを閉める
となります。
オイルを入れる
フロントフォークに入れるオイルの量は基本的には決まっています。
フロントフォークオイルを入れる量は、とりあえずは多めにしておけばいいです。あとで、油面調整を行うので、最初は「大雑把にこのくらい」でOKなのです。
今回のオイル交換では、スラストベアリングを入れるのとトップキャップを変えるため、空気量が減ってしまいます。その分、油面を低く設定して、空気の量をメーカー指定値に近づけます。
よくしごき、エア抜きを行う
オイルを入れたら、エア抜き作業です。
入れたオイルがフロントフォーク内にいきわたるように何度かしごいておきます。さらに、立てかけてしばらく時間を置きます。
今回は、ほとんど時間を置かずにやってしまいました。本来なら、この待ち時間の間にブレーキキャリパーの洗浄をするといいと思います。どうせキャリパーは外されているので。
油面調整を行う
油面調整には、専用工具があります。 自作する方もいらっしゃいますが、滅茶苦茶高いものでもないし、製品になっているものは使いやすい場合が多いので、僕は買ってしまいました。
個人のバイクメンテナンスでは、それほど頻繁に使うものでもないと思うので、自作をするのもアリだと思います。 YouTube を探すと作り方などはたくさん出ています。わかりやすいなと思うものを参考にしてみると良いでしょう。
今回はスラストベアリングの厚み分、 4mm ほど油面を下げることにしました。 が、しかし、間違って4mm 上げて設定してしまいました。近々修正しないといけないと思っています。初心者あるあるですかね…。
フロントフォークを組み上げる
オイル量の調整ができたら、あとは組み上げ直していくだけです。
一度外した物を組み上げていくだけなので、開けたときに入っていた順番で入れていけばいいです。 今回のオイル交換ではスラストベアリングを入れているので、このパーツに関してはワッシャの代わりに入れました。
- スプリングを入れる
- スラストベアリングを入れる
- カラーを入れる
最初にスプリングを入れます。 スプリングには一応上下があって巻き密度(間隔の狭い方)の多い方を下に入れます。
次にスラストベアリングを入れます。 スラストベアリングにはスラストベアリング用のワッシャー2枚を使います。 ワッシャ2枚でスラストベアリングを挟むようにして、その状態でフロントフォークに入れていきます。
なのでワッシャー、スラストベアリング、ワッシャーの順番で入れていけばいいです。それぞれ裏表は特にありません。
最後にカラーを入れてトップキャップを閉めてフロントフォークの作業は終了です。
今回の作業ではトップキャップを純正の物から社外品のプリロードを調整できるものに交換しました。そのため、作業的に大変なものはなく、ただ締め込むだけでした。
トップキャップは、スプリングによって多少押されているので、手で押さえ込みながら回していく感じになります。 とはいえ、そんなに大変な作業ではないので、特に問題なく締められると思います。
フロントフォークのインナーチューブを磨く
せっかくフロントフォークを外しているので、インナーチューブを磨いておく良い機会です。フロントフォークを付ける前に磨いておきましょう。
インナーチューブは、トップブリッジとアンダーブラケットで固定してある辺りでサビが出ていることが多いと思います。 放っておいてもすぐにどうこうというものではないのかもしれませんが、せっかくの機会には磨いておいても損はないと思います。
磨くといっても、それで傷をつけてしまっては元も子もないです。なので、軽いサビだけ落とすような感覚でやると良いです。それ以上はプロに頼んだ方がいいでしょう。
磨く方向は、フロントフォークが動く方向と直交する方向にするものだそうです。 フロントフォークが動く方向に磨いて傷がつくと、オイルシールの効き目が落ちるようです。
僕は、パーツクリーナーを吹いておいて、スコットタオルでよく拭いた感じです。 微妙に錆が浮いている程度な感じだったのでそれで充分でした。 ある程度定期的にメンテナンスをして、そのくらいに収めておくのが一番いいと思います。
また、トップブリッジとアンダーブラケットの清掃も軽くしておくといいと思います。 パーツクリーナーを吹いてスコットタオルなどで拭いておけばいいと思います。
フロントフォークをつける
組み上がってフロントフォークをアンダーブラケット通しトップブリッジまで通します。そしてそこでネジ止めです。
この時に、突き出し量をきちっと出しておく必要があります。 僕の場合は、今まで何度かテストして 3mm にしています。
プロの方々は、ここの作業に非常にこだわりの持っている方も多く、非常に精度の高い作業をされています。 個人的には、徐々にそういう領域に近づいて行けたらいいなと思いますが、今のところは突き出し量をきちっと合わせるくらいの意識で取り付けました。
取り付けた後はインナーチューブにシリコンスプレーを振って軽く磨いておきました。 以前、ドライファストルブを塗るようなこともしてみましたが、シリコンスプレーがいいよとコメント下さった方もいて、今回はそうしてみました。
フェンダーをつける
フロントフォークが付いたら、フェンダーをつけます。
実は、 最初フェンダーの前にフロントホイールを付け、フェンダーがものすごくつきにくくてやり直すということをしました。今回のフロントフォークオイルの交換で一番時間をかけてしまったのがフェンダーの取り付けのやり直しでした。
全然関係ないところに時間を取ってしまい、初心者丸出しですね。でも、これで覚えたので 次からはまず最初にフロントホイールを外すことから始めます。
こういったことも実際に自分でやってみないと学べないことですね。
ホイールをつける
ようやくフロントホイールを付けますが、ちょっとした力仕事です。
片手で微妙に持ち上げながらアクスルシャフトをきちんと通します。 最初ちゃんとホイールの持ち上がらずに斜めになってアクスルシャフトが通りにくかったです。
みんなどうしているのかと色々調べてみると、つま先をホイールの下に入れて持ち上げるようなことをしていたり何らかの工夫をしています。 今回は力任せにやりましたが、次は先人たちの知恵をパクってやってみようと思います。
ブレーキキャリパーをつける
ブレーキキャリパーは、特に何の問題もなくサクッとつきました。
今回はブレーキパッドの清掃などはしていないので、本当にそのままつけるだけでした。
キャリパーを装着したら、手で軽くタイヤを回しながらフロントブレーキをちょっとずつ握ってみます。 これで全然止まらないとか、変な手応えになったらやり直しです。最後目一杯握りこめるところまで確認してみましょう。
ただ、初めてチャレンジされる方は、できたらキャリパーマウントの締め付けトルクを調べておいて、トルクレンチで締めることをお勧めします。ブレーキは命に関わってくるパーツでもあるので、なるべく正確に厳密に作業した方がいいと思います。
スタンドを外す
あとは転倒に注意してフロントのスタンド、エリアのスタンドを外します。
フロントフォークとブレーキの確認
バイクが元に戻ったところで、最終確認をします。
バイクを前後させてブレーキをかけます。
- きちっとフロントフォークが沈むのか
- 変な跳ね返りなく、きちっと減衰しているか
- 前後に軽く動かし、ブレーキをかけ、きちっとブレーキが効いているか
この辺をチェックして特に問題がなければ作業終了です。
終了
作業によって汚れたところがあれば拭き取っておいたり、でたゴミや工具などを片付けて終了です。
まとめ
一連の作業を文章にしてみると、何だかとっても大変そうな気がします。
確かに初めてやる時には大変です。 でも、多分ですが、2度3度と繰り返していくうちに普通にさらっとできる作業な気がします。
フロントフォークのオイル交換は、あまりやる人は多くないような気がします。でも、1万 km に一回、とか一年に一回とか、そういった推奨される交換期間があるのでできるようになったらきっといいですよ。整備もそこそこ楽しいと思います。
最後にトルク管理の話です。
まずトルクレンチを使いましょう。トルクレンチなんか使わなくてもいい場所もありますが、使わないといけない場所も多いです。
お勧めはこれ。
トルクレンチを持っていても締め付けトルクがわからないと意味がありません。
僕自身は NC のサービスマニュアルを持っているわけではなく、大事な所の締め付けトルクはネット上で探し回りました。
今回の作業では、その数字に基づきトルク管理をしました。
サービスマニュアルは割と値が張るものではありますが、もし用意できるのであれば用意した方が確実にいいです。 僕もそのうち手に入れたいです。
先日、メンテナンスの講座があったので行ってみました。そこで一緒になった方は、ネット上で見つけた数字を使ってネジを折ってしまったそうです。
話を聞いてみると、実は別のバイク用のトルクを間違えて使ったそうで、そのために折れてしまいました。
こういったミスを防ぐためにも、サービスマニュアルはあったほうがいいです。
工具についても同じように考えていて、あまり使わないからなんとか工夫でこなすというのはもちろんありなんですが、できるものなら用意してしまった方が安全確実です。
もし初めてメンテにチャレンジする方は、その辺も考えてから作業に入っていただくといいと思います。
次にはメンテナンス講座で教わったことを一部紹介したいと思います。その講座でも話がありましたが、メンテナンスを実際に自分でやるかやらないかは別として、できるようになっておくのはとても意味があることだそうです。
実際、自分のバイクを自分でいじれるのはそれはそれでなんか楽しいです。できるところからのチャレンジおすすめしたいです。
では自分のメンテで楽しいバイクライフを!
コメント