先日、僕のNC750S DCTは無事に車検を通過しました。
今回で通算3回目、NCと付き合い始めて5年です。今回も、車検最難関といわれる光軸検査を含めて、全項目一発合格でした。
ユーザー車検にするのは、やはり費用面。ショップに任せる安心感も大きいですが、日頃から自分なりに整備し、そこそこのコンディションを維持していると思っています。バイクの車検は(しっかり準備すれば)それほど大変じゃないです。せっかくの自分のバイク、自分の手でできるだけのことはしたい。そんな想いも、僕をユーザー車検を選び、検査場へ向かわせる原動力になっています。
2年おきに自分の手で検査場へ持ち込み、公的な「診断」を受ける。それは、バイクの状態を改めて法的に、そして物理的に「同期」させる大切な儀式のようなものですね。
今でこそこうして落ち着いて振り返ることができますが、4年前、一番最初に受けた時は、めちゃくちゃ緊張しました。だいぶ前からネットで情報をかき集め、何度も動画を見て予習し、当日を迎えたことを思い出します。
今回は、この4年間の変遷で感じた「ユーザー車検システムの進化」と、現場で遭遇した予期せぬドラマについての記録を残しておこうと思います。
予約:画面上の「満員」と、現場の「閑散」
当日のこと以前に、予約の段階で最も戸惑ったのがオンライン予約システムの異様な混雑ぶりでした。
4年前(初回)は翌日の予約が取れるほど空いていて、2回目もそこまで過密ではなかったです。なのに今回は、数週間先まで「満員」の表示。仕方なく数週間後の枠を確保しました。
ところが当日、実際に行ってみると、窓口には行列一つなく、検査ラインの前でも数台が待機しているだけのガラガラな光景が広がっていました。
「これほど空いているなら、もっと予約を受け入れられるはずでは?」
画面上の「緊迫感」と現場の「のどかさ」のギャップに、不思議な感覚を覚えずにはいられませんでした。いきなり行っても検査を受けられるんじゃないか、そんな気がしました。
受付:アナログの壁をどう突破したか
ユーザー車検の最初の壁は「書類」。ここが、この4年で最も「DX」を感じる場所でした。
初回:混雑と「2度並び」の洗礼
当時は窓口も非常に混雑していました。周囲には手慣れた雰囲気の業者さんたちが大勢いて、独特の緊張感があります。
事前調査では「書類は窓口周辺に用意されている」はずだったのですが、実際に行ってみると3種類必要なのに1種類しか見当たらない。仕方なく、まずは「書類をもらうため」に窓口へ並びました。これが1回目。
ようやく書類を手に入れ、記入を終えた後のことです。「提出は(並ばずに)そのまま出していいですよ」と案内されたものの、殺気立ったプロたちの視線を感じる現場で、そんな割り込みに近い真似ができる空気ではありません。結局、提出のためにもう一度律儀に列の後ろへ並び直すことに。これが2回目。
すべてが手探りで、気力も体力も削られた記憶があります。当時のユーザー車検体験記にもそのあたりの葛藤を詳しく書いています。
(下に続く)
2回目:戦略的な回避と「ワンストップ化」
前回の「混み合う窓口で慣れた人たちに紛れて並ぶストレス」に懲りた僕は、2回目は迷わず「代書屋さん」に直行しました。
1000円ほどの手数料で書類作成から印紙の用意までワンストップで完了。無用な混雑を避け、2度並びのリスクを金で買うという戦略は、精神衛生上も大正解でした。
ただ、あとで受付周辺を見てみたら、この時にはちゃんと書類は用意されていました。
3回目:自動化の光と、残された「不透明な隙間」
そして今回。今回も代書屋さんに頼もうと直行しましたが、受付の窓口で「今は機械でプリントアウトできるから、自分でできるよ」と教えてもらいました。結局、今回は代書屋さんは使わずに自力で進めることに。
受付の機械で車検証のQRコードをスキャンすると、必要な書類3枚がプリントアウトされてきました。だいぶ簡単になったけど、次には、これをいったいどうしたらいいのか?という疑問が生じます。
近くに書類の書き方の案内があって、鉛筆で書く欄とボールペンで書く欄とで指定が違うみたい。一応書いてある通りに記入しました。それでも不備があったことは、あとになってわかりましたけど、その場で修正できる程度のもので特に問題はなかったです。
別の場所で重量税や自賠責や手数料を払い、書類はこれで一応完成。ただ、このままラインに並んでいいのか、一旦窓口に出すのかがよくわからないです。
たまたま窓口が空いた瞬間があったので書類を見せてみると受け取ってくれて、「住所と名前の欄だけ書いてそのままラインに並んでください」、と言われました。
結局、最終的には窓口に書類を出すという作業がありました。機械でできるのは、受付と書類をある程度記入した状態で用意してくれるところまで。どこかに書いてあったのかもしれないけど、よくわからなかったです。
こうやって、文章にすると大変なような気もしますが、一度やってしまえば全然なんてことないです。ユーザー車検の人も増えているようだし、それなりに優しくなっているような気がします。
ライン前検査:現場で繰り広げられる攻防
受付を済ませ、いよいよ検査です。コースに入る直前、検査員の指示で、ウインカー、ライト、ブレーキランプ、ホーンなどの機能的なことと、車台番号を始めとする書類と現物の一致などを一通りチェックします。今回は、いつもと違うことがありました。少しずつ、検査も変わっていくんでしょうね。
初回:エンジンガードの実測と、想定外の「ベテラン扱い」
車検対応のエンジンガードをつけているのですが、それが検査員には大きすぎるように見えたようで、細かく実測されました。結果的には問題なかったですが、初回ゆえの緊張感は相当なものでした。
ただ、あまりに予習を完璧にしすぎたのが仇となり、検査員には「慣れている人」と思われてしまったようです。本来あるはずの丁寧な説明がかなり端折られ、戸惑いながら進んだのは今となってはいい思い出です。とはいえ、嫌な感じはなかったです
2回目:リスクの事前デバッグ
前回の「疑義が生じると面倒」という教訓から、この時は最初からエンジンガードを外して臨みました。
その甲斐あって、基本チェックだけで何事もなくすんなり通過。不確定要素を事前に取り除いておくことの重要性を実感した回でした。
3回目:執拗な「物理探索」
今回は、今までとは違う雰囲気を感じました。
外回り検査で僕のNCを検査員が小さな懐中電灯を手に、まるでオイル滲みの大元でも探り当てるかのように、下回りのあちこちを執念深く覗き込み始めたのです。時間をかけて、執拗に。一向に終わる気配がなく、ついには無線で別の検査員まで呼び出し、2人体制での探索が始まりました。
しばらくして、新しく来た検査員が何かを発見して「終了」。
あれはオイル漏れを疑っていたのではなく、「エンジンの載せ替え(原動機形式の刻印)」をチェックしていたようです。NCの場合は右ステップの奥のかなり見えにくい場所に刻印があるらしく、それを必死に探していたわけですね。自分ではまだ確認していませんが、今度見てみようと思います。
(下に続く)
ライン(機械検査):光軸・排ガス・スピード
ライン前検査を終え、いよいよラインを進みながらの機械検査です。
排ガステストの「E」ボタン
排ガステストではボタンの選択に迷うのが常ですが、今回はライン前検査の時点で検査官が検査表に「E」と大きく書いてくれました。
「排ガスはEを押してね」
その一言があるだけで、テスター前のプレッシャーが劇的に減ります。こういう現場の気遣いには、僕のような2年に一度しか検査に来ない人は助けられますね。
スピードメーター検知は「後輪」
検査ラインに入ると、スピードメーターのテストを「前輪」でするか「後輪」でするか申告します。NC750Sは「後輪」です。
これ、意外とネットで調べてもパッと出てこない情報だったりします。
初回の時、自分なりにしっかり予習して臨んだはずなのですが、なぜか「スピードメーター検知は前輪」という誤った情報を掴んでしまっていたようです。
現場で自信満々に「前です!」と申告した際、検査員の方に「えっ?」という顔をされましたが、「まあ、一応やってみましょうか」と前輪を回しても、当然メーターは微動だにせず……。
結局、その場で後ろに設定をやり直してもらって事なきを得ましたが、3回目の今回は、一点の曇りもなく「後ろです!」と言い放つことができました。
光軸検査:夜の事前チェックとフロントフォークの関係
車検の最難関と言われる光軸検査ですが、実は僕は今まで一度も落ちたことがありません。専用のテスター屋で調整してもらったこともないです。
ただ、自分なりの「微調整」はしています。
検査前の夜、平坦な場所で壁に向かってハイビームを照射してみるんです。左右のズレは、あれば多分一目でわかります(僕のはズレていなかったので、正解の確信はないですが、違和感があれば気づくはずです)。上下については、遠くを照らしても高さが変わらなければOK、というのが自分なりの基準です。
実は前回、「少し下向きすぎるかな?」と感じたことがありました。ちょうどフロントフォークのイニシャル(プリロード)を調整できるように加工していたので、イニシャルを少し上げて車体の姿勢をわずかに上向きに補正して臨んだ経験があります。それがどれだけ効いたかは定かではないですが、それ以来、特に何もせずとも毎回ストレートで合格しています。
交付:「更新」という名の、変化なき車検証
すべての検査が終わり、交付窓口で新しい車検証を受け取ります。
「あれ? さっき出したのと変わっていない?」
返ってきたのは、前回と同じ紙でした。実は現在、電子車検証になっていて、車検の更新は「チップ内のデータを書き換えるだけ」という運用になっています。
「だったら、もうクレジットカードサイズで充分じゃないか?」
そんなツッコミも脳裏を過ります。
ちなみに今回の検査、「切れる2日前」のギリギリでした。次回への備忘録として、ここに大きく書いておきます。
「NCの車検は5月ではなく、4月末。余裕を持って3月に確認すること!」
(皆さんも「買った月」の記憶に頼らず、必ず車検証の期日を直接確認しましょう……!)
まとめ:今回の「戦績」と知恵
最後に、今回の法定費用の内訳を記録しておきます。
- 重量税: 3,800円
- 自賠責保険(24ヶ月): 8,760円
- 検査手数料(印紙代): 1,800円
- 合計: 14,660円
ショップに依頼すれば数万円かかりますが、日頃のメンテナンスを自分で行っているライダーにとって、この差額は「タイヤ代」や「ガソリン代」へと変換できる大きな価値です。今回は代書屋もテスター屋も使わなかったので、純粋な法定費用だけで済みました。
そして、3回とも助かっている最強のアイテムが「バインダー」です。必要な書類をすべて挟んでおくだけで、窓口や検査員への提出が劇的にスムーズになります。一度味わうと手放せなくなるはず。書類一式を挟んだまま渡せばOKです。いちいち外さなくても見てくれます。重量税を払う窓口では、「そのままくれ」といわれました。(丁寧な言葉で)
また2年後、このログを読み返す自分が、さらに劣化(あるいは進化)したUXにツッコミを入れているのか、それとも完全自動化に感動しているのか。
それまでまた、このNC750S DCTと走り続けようと思います。


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