
NC750S DCT。中古で買って2年半で約14,000Km乗りました。が、この間リアのブレーキパッドの交換はしてませんでした。一応残量確認はちょくちょくしていましたが、さすがに交換時期だろうということで交換です。
ブレーキパッドといえば、バイクの安全運転には欠かせないパーツ。リアブレーキパッドは、バイクを止めるだけでなく、様々な状況でバイクを制御するためにも使われます。そのため、今回は比較的柔らかいタッチのパッドを選び、交換しました。
ブレーキ関連は重要保安部品ということで、専門的なメンテナンスが必要です。そのため、自分での交換はやらない方が良いと思う方もたくさんいらっしゃいます。ただ僕は、
- 自分のバイクへの理解を深めたい
- 自分でできることを増やしたい
- コストを抑えたい
という観点からDIYで交換作業をしたい派です。
バイクに乗っているときの急なトラブルは困りますよね。そうした状況に備えて、バイクの知識を持っておくのは大切だと僕は思います。とはいえ、安全第一でもあるので、無理せず自分にできる範囲でのメンテナンスを心がけたいものです。で、少しずつレベルアップも図るのがいいんじゃないでしょうか。
リアブレーキパッド交換した理由
冒頭に書いたように、NC750Sは約2年半で約14,000Km走り、その間、リアブレーキパッドの交換はされていません。
実際に残量確認すると、残量は約1mm。バイク乗りの中には、パッドの残量が2mm~3mmになったら交換時期だと考える方もいますので、僕のバイクも確実に交換の時期が来ていました。

僕のNC750Sは中古で買いました。前オーナーがどのようなメンテナンスを行っていたのか詳しくはわからないし、そんな時は、自分でどんどん交換していくのが精神衛生上いいですね。
準備と必要な道具と材料
今回の作業で使用した材料と道具について紹介します。
材料
- 交換したパッド:RK FA55 セミメタルパッド
- パッドに銅が多く含まれるそうで、とにかくタッチがいいとのこと
- ブレーキフルード:KYK(古河薬品工業) DOT-4
- 僕は透明で安価で硬いタッチが好み。車も同じものを使っている
道具
- リアスタンド
- ビニールテープ
- キャリパーピストンツール(パッドが薄くなった分、出てきているピストンを押し戻す工具)
- ピストンプライヤ―(ブレーキピストンをつかんで回せるツール。ピストンを洗う時や確認するときに使います)
- ワンウェイバルブ(デイトナ製。今回初めてワンウェイバルブを使用しました。エア抜きの時に空気の逆流を防ぐためのツール。なくても作業はできますが、あった方が便利です)
- シリコングリス
- オイル差し(ブレーキフルード用)
- 歯ブラシ(キャリパー洗い用)
- バケツ
- トルクレンチ
- ドライバーやレンチ類
- 排出フルードの受け皿
以上が、今回のブレーキパッド交換で使用した道具と材料です。バイクメンテナンスをする際には、これらの道具があると作業がスムーズに進みます。
交換作業の手順
NC750Sのリアブレーキパッド交換の手順です。どんなバイクでも大体は同じ手順になると思います。
作業前の準備
まず最初に、メンテナンスマニュアルを確認します。具体的な作業手順や注意点が書かれているので、これを読んでおくのは重要ですね。もしなければ、ヤフオクとかで仕入れておくのがおすすめです。
あと、いろいろな人がYouTubeに動画を上げているので、一度見ておくといいと思います。動画を見ながら、頭にイメージを作っておくと、実作業がスムーズに進みます。とはいえ、僕のような素人DIYの動画がほとんどなので、鵜呑みは禁物です。流れの確認がいいと思います。
また、必要な材料・道具の確認も忘れずに。パッドの交換だけでなく、ブレーキフルードも新しいものに交換しておきたいので、その準備も忘れずに。
さらにリアスタンドとフロントブレーキロック、そしてブレーキフルードを捨てる容器も準備しましょう。夏の作業であれば、蚊取り線香も作業中の集中力の低下を避けるためにあったほうがいいですね。僕は蚊が大嫌いなので、たいてい3つくらい用意します。
手順詳細
ブレーキフルードを減らしておく
パッド交換の際には、まずはリザーバタンク内のブレーキフルードをある程度減らしておくことが必要です。
技術的に難しいことはさておき、最終的にはブレーキフルードも新しいものに交換してしまうので、まずはリザーバタンク内の多分茶色くなっているブレーキフルードを抜いてから作業を始めます。
【リザーバタンクを外側に移設】
NC750Sの場合、リザーバタンクがフレームの内側にあります。このままでは非常に作業がしにくいので、作業の時だけ外側に移設します。リザーバタンクはネジ1本で停まっているので、外すのは簡単。外すときには長めのソケットが必要です。

ネジを外したらフレームから外して、外側にもってきて、フレームにビニールテープでぐるぐる巻きにして留めます。ほかにやりようのある人はどんなやり方でもOKです。

【ブレーキフルードを上から抜く】
リザーバタンクには、蓋と内蓋とダイヤフラムという部品が付いています。蓋にある二つのネジを外せば全部外せます。ブレーキフルードは塗装を痛めるということなので、外す時にはフレームにかからないように気を付けて作業します。



場合によっては周辺をタオルなどで覆っておいてもいいと思います。
ダイヤフラムはゴム製品なので形の変形などがないか確認をしておきます。変形があれば交換です。僕は最初のフルード交換の時にダイヤフラムも新品に交換しました。

変形がなければ水で洗っておきます。再装着の時には完全に乾いていないといけないので、先に洗って乾かしておきましょう。
蓋が取れれば中に古いブレーキフルードが見えます。しばらく交換していなければ麦茶のような色になっているはず。完全に交換時期です。

ブレーキフルードは今回の作業では交換するので、最初にそこそこ抜いてしまいます。
抜く方法は色々あると思います。僕はオイル差しを使って抜きます。あとで、新しいフルードを入れるときにも使います。
この手のものは使わない方が多いと思いますが、一つあると作業が楽だしフルードをこぼしにくくなるのでお勧めです。それほど高いものではないので、一つ用意してあってもいいんじゃないかなと個人的には思います。
ブレーキパッド交換
ブレーキパッドの交換だけとキャリパーまで洗うとなると作業が少し変わります。僕はキャリパーやピストンまで洗うことにしたので少し作業が増えています。
【マフラーを外す】
サービスマニュアルにはブレーキキャリパーの洗浄については触れられていません。洗浄しようと思うとキャリパーをバイクから外さないといけないわけですが、その場合にマフラーが邪魔になります。
マウントボルトでキャリパーはバイクに取付けられていますが、このマウントボルトがマフラーにあたって外せないからです。

ということで、キャリパーやピストンをきれいにしようと思ったら、まずはマフラーを外します。
マフラーはたった2個のネジで止まっているだけです。外すのはとっても簡単です。作業性向上のためにも外してしまった方が作業がしやすいし、DIYメンテだったら多少時間をかけてもいいと思うので、最初から外しちゃうのがおすすめかも。僕は次からは最初に外しちゃいます。


パッドを交換するだけでキャリパー洗浄はしないのであれば、マフラーを外す必要はないです。まぁ、外すのはそんなに手間じゃないし、パッド交換もしやすいので、僕はたぶん外します。
【キャリパーの清掃】
せっかくパッド交換でキャリパーへの作業をする機会には、少し綺麗にしておきましょう。サビ具合のチェックになるし、普段目の届かないところを見ておくのは、悪いことじゃないと思います。
キャリパーは2本のネジでバイクに留められ、ブレーキパッドは1本のネジでキャリパーに留められています。この合計3本を外せば洗浄できます。ちなみに、キャリパーを止めているネジ(リアブレーキキャリパマウントボルト)は、サービスマニュアル的には新品交換となっています。
キャリパを洗うのは、僕はバケツに水を用意しておいて、歯ブラシでごしごし洗います。軽い汚れを落とす程度です。サビがひどかったり、手に負えないと思うレベルで汚れていたら、手を入れる前にバイク屋さんに行った方がいいと思います。

ピストンは丸い形状なので、全体を洗うためには少しずつ回していく必要があります。そのためにピストン回しとかピストンプライヤーと呼ばれる工具を使うといいです。キャリパーをたまには洗いたいと思っている方は、持っていた方がいいです。

ピストンはフルードで押されて出てきます。フルードが漏れないようにゴム製シールが入っていますが、たいていはパーツクリーナーが苦手です。なので、汚れがひどいからといって、キャリパー周りにパーツクリーナーをじゃぶじゃぶかけるようなことはしない方がいいです。完全にばらしちゃう(オーバーホール)だったらシール交換もするでしょうからいいですけど。
素人DIYメンテナンスだったら、落ちやすい汚れを軽く落とす程度にします。それで充分だし、それ以上が必要な感じがしたらバイク屋さんにお願いします。
一通りきれいになったら、乾かしておきます。エアコンプレッサーがある人は一瞬で吹き飛ばすことができますが、僕は素人DIYなんでエアコンプレッサーがないです。がエアダスターって空気を噴き出すツールで乾かしました。結構うるさいですけど、目的は達成できます。

【ブレーキパッドの交換】
ブレーキパッドはついていたものを外して新しいものをに入れ替えるだけです。
と簡単に書きましたが、丁寧に正確にきちっとやる必要があります。僕のようなものがコツを伝えることはできませんがなんとなく違和感がある状態ではきちっと入ってない可能性が高いです。うまくいくと簡単にカチッとはまる感じがします。

新しいブレーキパッドを装着するときにブレーキ鳴き防止のために面取りをする方が多いです。僕は全然しないでそのまま入れています。特に問題が起きたこともないし、メーカーが出荷時に何らかの処置をしていると思うので、特に必要はないと僕は思っています。でもやりたい方はやったほうがいいと思います。
ブレーキパッドとピストンが当たるところに軽くシリコングリスを塗っておくと良いようです。当たるところだけでいいので、ホンのちょっとだけ塗っておきましょう。全体に塗る必要はないです。
最後にパッドピンを入れてネジ止めしますが、ここもシリコングリスを塗っておきます。
エア抜き
続いて、エア抜き作業です。パッド交換の際には、フルード交換(エア抜き)も同時に行うと効率がいいですね。
今回は、バイクでは初めてデイトナのワンウェイバルブを使いました。これを使うと、逆流を防止し、エアが噛むのを防げます。さらにエア噛みを防ぐために、エア抜きホースは上向きにしておきましょう。
このワンウェイバルブはなくても全然問題なく作業ができます。でもあればあったですごく便利なものなので、少しでも楽に作業を進めたい人にはお勧めです。今回初めて使いましたがあって楽だなと実感しました。次回以降も絶対に使います。
フルードはKYK(古河薬品工業)のDOT-4を使っています。無色透明なところがよく、さらにブレーキのタッチが硬めなのも個人的には好みです。
元に戻す
あとはどんどん元に戻して行きます。ブレーキは大事な部品なのでトルク管理をしっかりしましょう。マウントボルトは22Nmで、パッドピンは17Nmです。

注意点
ブレーキパッド交換は、消耗時には厚みが減っていてピストンがだいぶ出ている状態です。なので、新しいものはピストンを押し込んでおかないと入りません。

今までフロントブレーキのメンテの時には全部手で押し込めました。ただ今回は固くて全然押し込めませんでした。なのでたまたま持っていたピストンを押し込む工具を使いました。


一般的に素人DIYでは持ってない方が多いと思います。どうしたらいいかよくわかりませんがこれからもメンテを自分でやっていこうと思う場合には、一つ持っておいてもいいのかもしれません。まぁ優先度は高くないですけど。
あと、排出したブレーキフルードは、水道やその辺に流してはいけません。自治体によっては、廃棄方法が違いますから、それぞれ確認をしてください。
まとめ
これでバイクで初めてのリアパッド交換が終わりました。今回交換したことで安心感が得られたし、制動力や制御性についても問題なかったです。
次は、冷却水の交換とフロントフォークオーバーホールを計画しています。皆さんも、DIYメンテナンスを行うことで、バイクの状態をより理解し、安心してツーリングに行くことができるようになりましょう。
NC750SっていうかNCシリーズは、バイクを安価に作るために、逆にメンテのしやすいパーツを多用しています。ぜひやってみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。YouTubeでも同じ内容を詳しく解説していますので、是非そちらもご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします。
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